検証・これが実写版の台本だ!−act43(その1)

冒頭のセーラーマーキュリーと妖魔(雫)の戦い。マーキュリーが大見得を切る。

     私に水で勝負しようなんていい度胸ね

と言ったのに、新技「マーキュリーアクアサイクロン*1」を使ったのに、技を繰り出すマーキュリーの動きと安上がりなCGがきれいにマッチしたのに*2、妖魔に簡単にはじき飛ばされるマーキュリーが憐れ。てか、マヌケ。だが台本を見るとそんなシーンは無い。すべて鈴村監督が付け加えたマーキュリーファン、いや端的に言って浜千咲ファンへのサービスだ。このヘタレさはサービスになっているのか。
だが、ここのシーンをもう一度よく見てみよう。マーキュリーが技を繰り出すとティアラがきらめきと手から出るなにか*3が輝く。なにかをいったん妖魔(雫)が吸収してはじき返す。それがマーキュリーを直撃し池にはじき飛ばされる。ここまでの時間とタイミングが実にリアルなのだ。1/10秒の狂いさえないと言って良い。実際はカットごとに撮影がされているはずだ。それが編集段階でぴったりと実時間軸に乗っている。特撮のリアルさとはCGを多用することだけではない。本来はそこに無いものを、卓越した空間認識と時間認識で創出する演出だ。
台本の先頭はなかなかかっこいい。だがこれを再現する時間も予算もなかったようだ。半ギレで妖魔と戦うセーラームーンに驚くマーキュリーも放送通り。最後が「ありがとう」ではなくて「ありがと」なのがマーキュリーの戸惑いを表わしている。このセーラームーンのキレぶりは後でまた出てくるので覚えておこう。
(つづく)

*1:紙パックがいらない優れ技だ

*2:安上がりはよけいだ

*3:水?