福岡ヤフードームは博多っ子のパラダイスだ(最終回)

試合が始まるまでは外にいたが、開始までまだ3時間もあるのにホークスファンの福岡県民がぞくぞくとドームに吸い込まれていく。仲間同士のおじさん・お兄さん、家族連れ、カップル、女性だけのグループも少なくない。なにしろホークスの選手はイケメンぞろいだ。
この人達はホークスが強いから応援しているのではない。地元の球団だから応援しているのだ。だから下位に低迷していたときも応援していた。そう考えるとジャイアンツはつらい球団だ。ジャイアンツが地元の球団だと思っている東京都民など一人もいない。
私は学校を出てからはずっと千葉県民、一時期は札幌市民だったが、もともとは三代続いた江戸っ子である。その生粋の江戸っ子だからわかるが、東京都民に郷土意識や地域的なアイデンティティなど皆無だ。なぜなら都民はよその土地のことなど知らなくても暮らして行けてしまう。東京に行きたい店があり学校があり会社がある。東京がそのまま国土であり日本そのものなのだ。生まれてから、よその県に興味を持ったことなどないから、逆に自分が住んでいるところがどういう土地なのかがわからない。だから地方の人が集まってお国自慢をしている中に入ると、自慢できることが何もないのに気付く。東京都民の意識の中での県境は、日本の国境になっているので、東京にあってよその県に無いものがわからないのだ。思わず「東京ディズニーランド」と言ってしまい、あれは千葉県だよと突っ込まれる。
南沙織の歌に「故郷持たないあの人に海辺の青さ教えたい」というのがあったが*1、東京都民には故郷がない。帰れる場所も帰りたい場所も無い。生活圏と現住所が違っている千葉都民、埼玉都民、神奈川都民はより深刻だ。東京生まれの私と女房が、3年間住んだ札幌を離れるとき「よかった。私たちにやっと帰れる場所ができた。住みたい場所が見つかった」と二人とも思ったのは偶然ではない。たぶん、仙台でも鹿児島でもそう思ったはずだ。
予想どおり野球とまったく関係なく進行した福岡ヤフードームの紹介だったが、機会があればまた行きたい。斉藤を見殺しにした松中は万死に値する。

*1:古っ!