検証・これが実写版の台本だ!−act40(その12)

いよいよクライマックス。もちろん妖魔との戦いではないですよ、風船割り対決。放送では美奈子の風船を割るのはまことだが、台本でもまことである。美奈子とまことは同じチームであるのにである。放送の

     「いただき!」

は台本では

     「あ、間違えた。ごめん!」

である。だから次の美奈子のセリフ

     「まこと!」

は放送、台本とも共通だが、意味が違う。おそらく台本はまことが美奈子の風船を割ったところでゲームがすでに破綻していることを表わしたのだと思う。このくだりがいい。

     風船を割ったり割られたりで、笑う五人の中に美奈子がいる。

     (中略)

     うさぎ達五人一緒の笑顔

五人が一緒にいること、美奈子が笑うこと、これがact40のゴールであると小林靖子が書いているのだ。短いト書きではあるが素晴らしい脚本である。もう一つ、この箇所で放送ではわからない部分。

     その様子をチラッと見るレイ

act36の台本を検証したとき、放送ではカットされているが物語が火野レイを中心にして進行していると書いた*1。act40もまた火野レイを中心に話がころがっていく。放送では風船を割られた美奈子を見てレイが声を上げて笑っているが、台本ではあくまでも冷静に美奈子を観察している様子がうかがえる。この一節を読むと放送とは少し違った火野レイ像が浮かび上がって来て興味深い。
(つづく)