検証・これが実写版の台本だ!−act40(その5)

スタジオでマーズれい子の撮影が行なわれているのを美奈子が見ているシーンである。アルテミスの口から火野レイが事務所に乗り込んでいったことが語られている。放送当時、マーズれい子の誕生は社長と火野レイとアルテミスによる策謀だと思っていた。だが、この会話を読むと事務所に乗り込んでいったレイを社長がスカウトしたようである。それでも社長が本気でないことは最後の

     「美奈子、歌をやめるなんて許さないわよ」

でわかる。これはいったいどういうことだろうか。
【阿吽の呼吸説】社長は火野レイを見た瞬間に、レイを当て馬にして美奈子に引退を思いとどまらせることを思いついた。レイは社長の意図を察し、その話に乗った。アルテミスは二人の真意を知らない。物語的には正しい。
【アルテミス共犯説】写真のアルテミスと美奈子の会話はアルテミスの作り話。実際は美奈子を引退させたくない社長とレイの思惑が一致し一芝居を打つことにした。それを知っているアルテミスが話に尾ひれを付けて美奈子に話した。これも物語的には正しいがアルテミスは美奈子に嘘をつけるキャラではないか。
【社長暴走説】レイの思惑は前の二つと同じく美奈子に引退をさせないための芝居。社長が美奈子の翻意を狙ったのはもちろんだが、マーズれい子のスカウトもマジだった。特撮関係者をスターダストばかりに取られてなるものかと大手事務所への対抗意識も小さくない。未来のハリウッド女優を一瞬で見抜いたプロの眼はさすがだが、ここまで本気で盛り上がって後で冗談でしたで済まされるのか。
真実はわからないが、放送に比べて台本ではレイがより積極的、挑発的であることがわかる。
(つづく)