検証・これが実写版の台本だ!−act40(その2)

では最初から見ていこう。アバンの部分での愛野美奈子とアルテミスの会話。美奈子がアルテミスに呼びかける。

     アルテミイ↑〜ス

出た!アルテミイ〜ス!変なセリフ回しやイントネーションを高○は見逃しても舞原監督は見逃さない。ということはこれでいいのだ。アルテミスの正式な呼び方は「アルテミイ〜ス」だ。
右上の写真だが、放送にもあった「セーラーヴィーナスじゃないわたしなんかいないんだよ」の次にこのセリフが来る。この部分はDVDの特典映像にも入っていたので、ご覧になってびっくりされた方もいるだろう。台本上でこの設定が出てくるのはact36だ。act40でもカットされたのは、単に尺の都合なのか、美奈子のセリフが既定の事実としての言い方で不自然だったからなのかはわからない。だが、この事実を後ろの回に持ち越すことで、なぜヴィーナスが目覚めてないことをレイだけが気付いたかの大きな疑問を残すことになった。
さらに、act36とact40でのカットにより美奈子が歌手をやめようとする動機の一つが隠れてしまっている。放送ではact39での幻の銀水晶の暴走をテレビで見た美奈子が、いま以上に戦士としての任務に専念する必要を感じたこと、また日に日に悪化する病状で、命の炎が消えてしまう前に自分の使命を果たそうと思ったことが動機だ。ところが、このカットシーンから見て取れるのは、自分がリーダーでありながら目覚めてないという美奈子の焦りと哀しみ。これはつらい、つらすぎるぞ。セーラー戦士の中で唯一、前世の記憶があり、いちばん使命感を持っていて、ちゃらちゃらしている他の戦士たちに苛立ちを隠せない自分が、戦士として未熟なのだ。そしてそれが芸能活動と二股をかけていることに原因があると思っている。これは強力な動機だ。
以前にセーラーヴィーナスは本当のところ強いのか弱いのか分析したことがあった*1。いまにして思えば、act12でゾイサイトを秒殺したのは小林靖子が仕掛けたミスディレクションだったのだ。それ以降の回でヴィーナスが強いことを示した回は一つもない。ヴィーナスが黒装束妖魔以外の妖魔を単独で倒したことは一度も無い。私は自分で勝率まで計算して*2ヴィーナスの勝率が低いことを見ていながら、それでもまだだまされていた。次に登場するact17以降の戦闘シーンをいちいち振り返ると、セーラーヴィーナスは戦士として目覚めてないこと、戦闘力が低いことが巧みに隠されている。あるときはマーズがいて*3、あるときはムーンがいて*4、あるときは全員がそろっている*5。恐るべし小林靖子
(つづく)盛り上がってきたところですが、明日から出張のため次回の更新はたぶん日曜日です。