火垂るの墓

火垂るの墓」が実写化されるらしい。いや、もう放送されたのか。たしかに、この兄妹は哀れである。戦争は弱い者を苦しめる。また平和な時代に生きる私たちは幸せである。そこに異論は無い。異論はないのだが、それでも私はこう言わざるを得ない。

     お兄ちゃん、なんでもっと辛抱しなかった

その点で、この作品が子供向けのアニメ作品として公開され、終戦記念日の頃に毎年テレビで放映される理由がわからないのだ。私がそう思うのが、これと非常に似た作品があり、その主人公は実にたくましいのだ。それは「ガラスのうさぎ」である。こちらは1979年に実写化され私もテレビで何度か見た。「火垂るの墓」は大阪大空襲で両親を亡くした兄妹の物語だが、「ガラスのうさぎ」は東京大空襲で両親を亡くした12才の女の子の実話である。田舎の親戚に引き取られるところも同じ。その家の子は学校に通っているのに主人公は勉強道具を取り上げられ働かされるところなど「火垂るの墓」より悲惨だ。だが、この子は逃げ出しはしない。唯一の家族である兄と戦争が終わって再び会う日を信じてがんばる。テレビで放映されたとき作者がテレビに出演し、映画ではひどい仕打ちをしていた親戚のおばさんに対して「あの時代、自分の子供だけでも大変なのに私の面倒まで見てくれて今では感謝をしています」と語っていた。そのコメントが印象深かったので、「火垂るの墓」のお兄ちゃんには憤慨してしまうのである。
ところで最近はこの映画はまったく放送されないのはなぜだろう。ビデオやDVDも発売されていないようだ。入浴シーンで胸が露わになっているのが問題なのかな。別の角度から語った「火垂るの墓」として青少年に見て欲しいと思う。いま検索をしたら今年になってアニメ作品が作られたようだ*1