植物の謎

花見といえば関東では4月の1週目あたりだが、函館がゴールデンウィーク札幌はその後だ。北海道では梅より桜が先に咲く。桜と言っても、こちらにあるソメイヨシノは少なく、正式な名称はわからないが、ようするに葉っぱがある山桜である。それでも5月中旬になると道民は花見に出かける。ただし、ここでも北海道民ジンギスカンだ。桜の名所に行くと羊の煙が立ちこめる。
関東地方から遅れること1ヶ月半、5月になると植物が一斉に開花する。桜、梅、チューリップ、タンポポ、パンジー、桃、もうなにがなんだか順不同だ。なにしろ8月の後半になると肌寒くなるので5月から8月までのわずか4ヶ月に植物は命を全うしなければならないので順番などかまってられない。8月に郊外にドライブに行くと、あじさい、ひまわり、コスモスが並んで咲いている庭があったりする。先々週に函館に行ったときも、いちばん見かけた花はあじさいだった。
ところで北川景子の名曲「桜・吹雪」に

     紫、ライラック薫る頃には遠い雪の記憶はまっさらにさらさら流れてく

という一節があるが、札幌の春はこの歌のとおりだ。ライラックは札幌の木に指定されており、ちょうど季節感がこの歌詞にぴったりはまる。5月下旬に大通公園に植えられた400本のライラックが一斉に開花し、ライラックまつりが催される。まあ、ローカルなイベントなので、これを見るためだけに観光客が来ることはないだろうから、現地に住んでいないと行く機会もない。4月はまだ日陰には雪が残ってたりし、スキー場もゴールデンウィークまでは営業しているところが多いので、雪が道民の視界や話題から消えるのはライラックが咲く頃、5月下旬まで待たなければならないのだ。