DVD第10巻(その3)

続いて未公開シーン。act40の愛野美奈子とアルテミスの会話。アルテミスは吹き替えがされてないので特典映像では画面にマンガのような吹き出しが出てくる。

     美奈子「セーラーヴィーナスじゃない私なんていないんだよ」

     アルテ「ぼくはそうは思わない」

     美奈子「アルテミスだってずっと気にしてたはずよ。どうしてリーダーの私が戦士の力に目覚めてないのかって」

     アルテ「それは...」

     美奈子「病気のせいじゃない...きっと...歌のせい」

ヴィーナス未覚醒ストーリーはact36の台本にあったものの放送されなかった*1が、ここでもまた封印されたのだ。act36では愛野美奈子のいないところで、アルテミスが火野レイに語るわけだが、act40では美奈子がそれを気にして悩んでいることがわかる。さらに、美奈子はその原因を病気ではなく、自分が芸能人として現世を謳歌しているためだと考えている。act39のラストからact40冒頭で出てくる美奈子引退宣言は、放送だけ観ると「セーラーヴィーナスとしてプリンセスである月野うさぎのそばにいる時間をもっと増やさなければならない」「そのためには芸能活動をしている場合ではない」と美奈子が思ったからだと解釈した。それはそれでつじつまが合うしその考えもあったのだろうが、脚本上はそれに加えて未覚醒問題が加わっている。つまり芸能活動をしている限りは戦士として目覚められないと。
ひたすら前世にこだわり続けて、放送中はウザいとさえ感じた美奈子であるが、実際は自分が戦士として覚醒できていないことをあせっていたのだ。それがわかると美奈子のつらさ、苦しみがわかる。わずか10秒くらいのシーンであるが、カットして欲しくなかった。この覚醒と歌の関係(実は無関係なのだが)がわかると、act40でのレコーディング、act46での子供たちの歌が重たい意味を持ってくるのだ。
(つづく)

*1:「検証・これが実写版の台本だ!−act36(その7)」参照