道路の謎(夏編)

北海道には2本の高速道路がある。長万部から札幌を経由して旭川に行く道央自動車道*1と、鈴木宗男議員で有名な日本一交通量が少ない*2道東自動車道だ。ここでいう「高速道路」とは「日本道路公団が作った道路」という意味だ。高速道路を「車が速く走る道路」と定義するなら、北海道の道の9割が高速道路だ。もちろん高速で走って良いわけがなく、制限速度はせいぜい60kmの道を、みんなが80〜100kmで走っていく。だから北海道の交通事故死亡者数は13年連続の日本一。不動の地位を堅持している。
テレビのニュースで

     農道を走っていた車が運転を誤って畑に落ち全員が亡くなりました

という痛ましい事故が報じられる。これを聞いたとき「どれだけ高いところに農道があるんだ」と思った。あぜ道と畑の高低差など、せいぜい1〜2mくらいではないか。しかも道から畑までは急だとしてもスロープがあるはずだ。とても全員が死ぬような事故になるとは思えない。実際に道内を車で旅行したときに、その理由がわかった。地方の農道は写真のように道は広くて信号もない。どこまでもまっすぐで視界の中にカーブも交差点も対向車も見えない。たまに来る対向車や後から来る車は、とんでもない速度で走っている。時速80kmで走っている私の車を*3、まさに矢のように追い抜いていく。時速40kmで畑に落ちれば怪我で済むかもしれない。時速100kmで落ちると、高低差よりも100kmが0kmになるときの加速度、つまり

     f=mα(注:fは力、mは質量、αは加速度)*4

このfに人体が耐えられない。まさにニュートン力学の正しさを命と引き替えに立証しているのだ。

*1:これが途中で分岐して小樽、夕張方面、深川に行く道がある

*2:かどうかわからないが

*3:おまえもスピード違反だろ

*4:そんなことはわかっとる