食材の謎(前編)

北海道は食べ物がおいしい、と観光客は言う。これは北海道の食事情の一面しか言い表わしていない。正しくはこうだ。

     北海道にはおいしい食材がある

金さえ出せばどこでもおいしい物が食える。また、まったく加工してない食材そのものと、一流のシェフが作った加工度の高い食べ物を同列に論じるのは意味がない。その土地の「うまいもの」の正しい定義を私はこう考える。

     1.そこらへんのスーパーで買ってきた特売品でもおいしいもの

     2.グルメ情報には載っていないそこらへんの店で食べてもおいしいもの

つまり「そこらへん」が私のキーワードだ。北海道のそこらへんでおいしい物は

     食材編:海産物(特にほっけ)、メロン、とうもろこし

     加工品編:回転寿司、ソフトクリーム

だ。こう書くと「ラーメンはどうした」「ウニ、イクラカニがあるではないか」「ジンギスカンを忘れてるぞ」と言われそうだが、私の感想はこうだ。
【ラーメン】おいしい店もあるが、まずい店も多い。適当に飛び込んでおいしい店に当たる確率はむしろ東京より低い。ただ、おいしい店の味が独特で、似た味を東京で探すのは難しい。
【ウニ・イクラカニ】これらは、おいしい物を食うにはそれなりの投資が必要だ。安い店で食べると東京と差は無い。ただし、良い店でそれなりの投資をしたときのおいしさは半端ではない。
ジンギスカン】これは北海道民アイデンティティというか、ある種のパーティーグッズなので、味で論じるべき食べ物ではない。同じ物を東京で一人で食ってもおいしくないと思う。
別に北海道のラーメンやウニを卑しめるために書いているのではない。本題の「そこらへん」で食べてもおいしい物がいかにおいしいかの前振りをしているだけなので北海道民の方は許して欲しい。