小学校の謎(後編)

【体育の時間は体操着に着替えない】転校したとき、学校指定の体操着をどこかですぐに購入しなければと思っていたので、子供が帰宅して「体操着ないんだよ」と言った意味が分からず女房が学校へ電話をした。そう、体育のときに着替えるという習慣がないのだ。この理由はいまもってわからない。たいして汗をかかないからとか、余分な金を使わないようにとか。それでは女の子はどうする。体育のある日はスカートで登校しないように注意しなければならない。だが実際に小学校に通い始めると、スカートを履いている子はほとんどいない。女の子もジャージの下か、Gパンが一般的だ。転校してすぐにうちの子が黄色いワンピースを着て行ったら、友達に「学校にそんな派手なかっこで来ない方がいいよ」と言われた。そんな土地で4年間過ごしたので、いまでもうちの子供が制服以外のスカートを履くことはない。体操着が無いので運動会に行くと写真のような風景になる。上も下もみんなバラバラだ。
【転入・転出がやたら多い】これは札幌だけ、それもマンションの多い地域だけの特徴だと思うが、私たちのような転勤者が多い。また本州と北海道だけでなく、北海道の中での転勤もある。結局、札幌の小学校に通った4年間でクラスの三分の一くらいが入れ替わった。最初に学校に挨拶に行ったとき「うちの学校は転校生が多いので、先生も特別にケアをしますし、子供も転校生はめずらしくないので心配いりませんよ」と先生に言われた。たしかにそのとおりで、初日から友達と遊びに行き、親としては胸を撫で下ろしたものだった。不安でいっぱいだった私たち家族を暖かく迎えてくれた北海道の人々にはいまでも感謝をしている。
【林間学校が近い】私が通った墨田区の小学校では朝の9時に出発、途中で昼食を取り午後の2時ごろ現地に着いた。札幌の小学校だと朝の9時に出発するのは同じだが、現地に到着が9時45分だ。そう、このくらい走れば十分に「林間」になるのだ。子供が心配なら親が見に行くことだって可能だ。忘れ物を届けることもできる。現地で暇を持て余しそうになるくらい林間学校が近いのだ。
2日間に渡って小学校のことを書いてきたが、総じて私は札幌の子供達が好きだった。みんな純朴で、適度にドライで。いまごろは大自然に囲まれた都会で遅い春の到来を待ちわびていることだろう。