act48−最終回再考−(後編)

さて、act47から続く悲劇3部作であるが、当然それに見合うだけのハッピーエンドがなければつりあいが取れない。用意されるべき結末は

     月・・・衛との恋の成就

     火・・・明るいレイ

     水・・・友達がいる亜美

     木・・・一人じゃないまこと

     金・・・宿命と病魔に囚われない美奈子

     衛・・・うさぎとの恋の成就、四天王との和解

であるが、これらの描き方がどれも弱いのである。ラストに向かうイベントは次のとおりだが

     1.数々の悲劇

     2.プリンセスセーラームーンによる地球の破滅

     3.月野うさぎによる自分の命と引き替えにした地球の再生

     4.みんなの幸せ

4の印象が弱いので3のありがたみが薄い。そのため2だけが目立ってしまう。だが、わずか30分間で2から4までを描き切ること自体が無理なことなのだろう。その点では最後の四天王のシーンが一番わかりやすい結末であり、私がFinalActで泣けた唯一のシーンだった。
また、うさぎと衛の恋も本来は「前世の悲恋が悠久の時を経て実を結ぶ」はずであるが、実写版では「あこがれのお兄さんと仲良くなった」程度の印象しかない。おそらく生身の人間が演じるドラマで、しかも対象年齢を考えるとあれ以上の表現は難しいのだろう。そもそも小林靖子が、この前世からの恋を物語の中心に据えるつもりがあったのか、かなり疑問である。個人的には、うさぎと衛の距離感は実写版程度の描かれ方でちょうど良かった。また最後のシーンが、うさぎと衛が抱き合うところではなく、5人の少女達がFrienをバックに駆け寄るシーンなのは実写版らしい感動的なラストであった。