冬の映画まつり「犬と少女と大根」

これも予告編を見て興味をそそられていた一本。
     
舞台はハンガリー。雑種犬に重税が課せられることになり飼い主は税金を払うか、収容施設に入れるかの選択を迫られる。わかわかんねえ法律だな。予告編では少女がものすごい数の犬を引き連れてハンガリーの街を自転車で疾走するシーンがあったのよ。
     
てっきり少女が自分の犬ともども犬を収容所から助け出し安住の地を求めて旅に出るという旧約聖書みたいな話だと思ってたんだけど、ぜんぜん違った。ハートフルなストーリーだと思ってたので、途中からパニック映画になっちゃって、この映画の落としどころはいったいどこなんだと困惑。この少女、小っちゃくて痩せてて身体は子供なんだけど、アップになった顔は大人なんだよね。劇中でとくに年令についての言及はなかったので22才くらいのロリ体型の女優さんが少女役をやっているという、篠宮ゆりみたいなケースかと思って映画を観ていた。家に帰って調べたら12才だって!*1 ハンガリーの少女は早熟すぎだろう。予告編のイメージと本編がぜんぜん違う意外性では今年いちばんの映画だった。つぎはこれ。
     
昔、「女優霊」という映画があってけっこう評判になったのだが、これは同じ監督の作品。結論からいいます。これはダメです。「女優霊」はジャパニーズホラーを方向付けた記念碑的な作品だったのに、これはホラー映画というより「怪奇映画」。怖い対象が初めからわかっているので、なんだかわからない怖さが無い。あとは主演女優。本田翼が大根と言ってる奴。前田敦子大島優子、果ては北川景子を大根と言ってる奴。この映画を観てから言いたまえ。きっと君が大根と言った人に土下座をして謝りたくなるはずだ。若い20代の女優は必ずしも演技が完璧でなくてもいいと思う。その人を観ているだけで目の栄養になるようなきれいな人。容姿はそこそこだがその人がいるとパッと明るくなるような華がある人。どちらもないが演じていることを感じさせないくらい劇に溶け込み登場人物そのものになれる人。このどれかならいい。だが、この映画の主演の人は3つともないよ。しかも、回りがベテランばかりなら目立たないのだが、同年代の若い子がたくさん出演していて、その中で主役がいちばん華がなく演技も下手だと、むしろ可愛そうに思えてくる。なぜ足立梨花を主役にしなかった? 彼女は実によかった。