8月に読んだ本

本題と関係ないけどちょっと気になったニュース*1

  ダーウィン映画、米で上映見送り=根強い進化論への批判

  進化論を確立した英博物学チャールズ・ダーウィンを描いた映画「クリエーション」が、

  米国での上映を見送られる公算となった。複数の配給会社が、進化論への批判の強さを理由に配給を拒否したため。

  (中略)   米配給会社は「米国民にとって矛盾が多過ぎる」と配給を拒否した。

  米国人の多くが「神が人間を創造した」とするキリスト教の教義を固く信じている。

  ある調査では、米国で進化論を信じるのは39%にすぎず、ダーウィンにも「人種差別主義者」との批判があるという。

こういうニュースを読むとアメリカってつくづく特殊な国だと思う。ついつい「西欧社会=アメリカ」どうかすると「世界標準=アメリカ」と思ってしまいがちだがとんでもない。「変な国だけど大きなマーケットなので無視はできない」とか「あの軍事力は怖えよ。怒らせるのはやめようぜ」と割り切って付き合うのはいい。だが、思想までアメリカが西欧標準、世界標準と思うのは日本の進路を誤らせることになる。たとえば、社内のセクハラ講習で「女性を食事に誘うのはセクハラ、上司だったらパワハラです」と教えられるのだが、ヨーロッパではこの手のアメリカ流のセクハラ論を鼻で笑う国もあるという。もちろん、アメリカ流がすべてまちがいと言っているのではない。自分の頭でもう一度よ〜く考えること、アメリカ以外の国にも関心を持つことが大切である。そこんとこを教育者、政治家のみなさんはお願いしたい。マスコミ関係者はいいよ。おまえらには何を言っても無駄だし、ぜったいに変われねえよ。
さて、8月に読んだ本だが、これとか
     

リビドヲ

リビドヲ

これとか
     
僕と『彼女』の首なし死体

僕と『彼女』の首なし死体

これとか
     
智天使(ケルビム)の不思議

智天使(ケルビム)の不思議

語るに値しないよ。つぎ!
  
絶望ノート

絶望ノート

うまいなあ。ジャンルとしてはミステリーなんだけど、この人の小説は小説そのものに仕掛けがあるのが多い。「葉桜の季節に君を想うということ」なんかはびっくりしたよ。読み進むうちに感じる微妙な違和感、パズルのピースにわずかな隙間があいたまま最後の1枚になって、それを力ずくではめると全部のピースがバタバタと音を立てて収まっていく。それと同時に自分が立っていた地平が崩れて、もう一つ下にあった本当の地面に叩きつけられるというか。

  

桜憑き―異形コレクション綺賓館〈3〉 (カッパ・ノベルス)

桜憑き―異形コレクション綺賓館〈3〉 (カッパ・ノベルス)

井上雅彦が監修する「異形コレクション」の番外編。前半が書き下ろし、後半は坂口安吾小泉八雲の古典(と言っていいのか)から。ホラーアンソロジーって、中には小説としての出来が悪くていらっとするものも少なくないが、この人のやつはすべて一定の品質が保たれていて安心して読める。やはり、桜の木って、ある種の怖さがあるよね。

  

魚舟・獣舟 (光文社文庫)

魚舟・獣舟 (光文社文庫)

すごい新人が現われたよ。♪日本の未来はウォウウォウ♪明るいぞ。この人をどういうジャンルに入れればいいのだろう。ホラーで味付けしたSFというか、SF的な舞台を使ったホラーというか。短編集なのだが、どれもバッドエンド。だが、けっして後味の悪い読後感ではない。静かな哀しみが漂う、なぜか爽やかささえ感じるのはこの作者の筆力。SFに興味が無い人も、ホラーに興味が無い人も楽しめる。
8月はこんだけか。やはり夏は読書に向かないね