問題はそこではないと思う

話題になっている痛ましいニュース。亡くなった原因とか遺書だとか家族は公開したくなかったのにマスコミが大々的に報じてしまったらしい2次災害。これに関連してこんな記事があった。

www.msn.com

俳優の坂上忍が27日、フジテレビ系「バイキング」で、ネット内ではテレビなど他のメディアも誹謗中傷しているという意見があるということに「SNSの匿名さんと一緒にされたら困るなと」と意見を述べた。
(中略)
これに坂上は「権力や、体制に対する自分の考えというものを、身元を明かして公共の電波の中で、何よりルールの中で言うのであれば、SNSの匿名さんと一緒にされちゃちょっと困るなと…」と意見。コメンテーターの峰竜太も「全然ちがいますよ」と坂上に同意した。そして「テレビでいったら、行きすぎた発言、間違ったことなら訂正なり謝罪して、そのうえにBPO放送倫理・番組向上機構)もあって。もっと手前でいったら現場では(峰が出演しているTBS系)『アッコにおまかせ』もそうだと思うが、スタッフさんとせめぎ合ってる中で、どうするっていうのがありますから」と、数々ハードルがあることを挙げた。峰も「ルールの中でやってますから」と言うと、おぎやはぎ小木博明も「本当にそう。テレビで言う人は責任持って言ってる」と匿名ではないことを挙げていた。

「誹謗中傷」と「匿名」はまったく別の問題。相手が誰であろうが、匿名だろうがテレビだろうが他人を誹謗中傷してはいけないのだ。たとえ子どもを10人殺し最高裁で死刑が確定した殺人犯であろうが誹謗中傷することは許されない。それは民主主義国家が等しく禁じている「私刑」になるからだ。「匿名」はそれ自体が悪いことではなくて、誹謗中傷をしやすい環境であるというだけだと思う。逆に「医療従事者のみなさんありがとう」、「安倍ちゃんお疲れ様」も私なら匿名でないと恥ずかしいから言いづらい。また出演者が言ってる「ルール」、「間違ったら訂正と謝罪」、「BPO」、「せめぎ合い」、「責任」、そんなものの存在なんか誰も信じてないからテレビを見た人は言ってるのに、本気でそう思っているなら怖い。ねつ造や誤報は声高に延々と、訂正や謝罪は短くアナウンサーがやるだけじゃん。だがそれを認めてしまってはこの人たちの存在自体が無意味になってしまうし、彼らの発言を喜んで「そうだそうだ」と聞いている人が多いから番組が成り立っているんだけどな。仮にこの記事がすべて正しいとしても、いつも誰かを非難しているワイドショーが、匿名の坂上忍を無数に作り出している事実はどう思うんだろう。でもそれもまた認めてしまったら元も子もないからな。