童話「カスタマイズ」

晩飯を食いながら考えた。

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むかしむかしあるところに、旅を続ける兄妹がいました。

兄「この町で食事にしよう」

妹「わたし、まだお腹が空いてないわ」

兄「つぎの町はずっと先だよ。ここでなにか食べておかないと」

妹「そうね」

二人は吉野家に入りました。

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兄「困った...俺もそれほどお腹が空いてない。牛丼一杯は食べられそうもない」

妹「わたしも」

兄「店員さん、店員さん、牛丼の並盛りをひとつ頼んで二人で食べてもいいですか?」

店員「お客さん、お客さん、それは困ります。ひとり一杯の牛丼を注文していただかないと」

兄「店員さん、店員さん、並盛りより少ない半盛りはありますか?」

店員「お客さん、お客さん、そんなのはありません。いちばん小さいのは並盛りです」

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兄「これは困った。食べきれないぞ」

妹「そうね。でも食べ物を残すのはいけないって両親に小さいころから言われたよね」

兄「そうだ!」

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兄「店員さん、店員さん、並盛りを二つください」

店員「へい、ありがとうございます!」

兄「一つは肉抜き、もう一つは飯抜きでお願いします」

店員「肉抜きと飯抜きと...へい、お待ちください」

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兄「来たぞ、俺の飯を半分、おまえの丼に入れて」

妹「わたしの肉を半分、兄さんの丼に入れて...半盛りの完成ね。これなら食べられるわ」

兄「あ、タマネギが一人前ずつ付いてきた」

妹「ねぎだくの半盛り牛丼ね」