残暑のビデオまつり「EVA」「青いパパイヤの香り」「怒り」

最初の2本は他人に自慢したくなるほどマイナーなスペイン映画とベトナム映画だ。

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スペイン製の美少女アンドロイド映画って書いてあった。主人公はロボット学者。数年前に何もかもがイヤになって恋人と別れて海外に行ってしまう。その間に恋人は主人公の兄と結婚して女の子(それがエヴァ)が生まれる。もとの大学に戻ってきた主人公、すでに兄の妻でありエヴァの母になった元恋人に未練たらたら。主人公はちょっとエキセントリックなエヴァに興味をもち、エヴァも主人公を気に入ったよう。主人公は自立型ロボットの開発を進めるがなかなかうまくいかない...わかった。このエヴァが交通事故で死んじゃって、エヴァの記憶をロボットに移し替えるんだね。と思ってたら、映画があと30分を切ってもエヴァは元気だし、ロボットも完成しない。まさか前編? と怖れていたらとんでもない展開が待っていた。ラストが悲しすぎるよ。なに、この映画。エヴァ役の女の子がめっさ可愛い。そしてすごくませている。スペインのおんな「心くん」みたいだ。

 

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なんとベトナム映画だよ。主役はポスターの女の子。貧しい家に生まれて、10才のときに奉公に出される。こ、これは、ベトナム版の「おしん」か。いや、その家の奥様はすごく優しい良い人、その家に前からいる中年の使用人も良い人で愛情を注がれる。とはいっても使用人だから朝から夜まで働き通しなんだけどね。この女の子も可愛いなあ。スペインの子とは対照的で子どもらしい素朴な子。時代はベトナム戦争のちょっと前なので1960年代くらいだと思う。この女の子の目を通して描かれるベトナムのちょいセレブな家の暮らしが興味深い。中国をちょっとだけ洋風にした感じ。安座間美優がパパイヤを果物として食べたことがないと言っていたが、この家でも庭になっている青いパパイヤの表面を薄く細く削って野菜として食っていた。映画の後半はいきなり10年後になる。この女の子も20才になっているが、よくあるパターンでこの女優が子役に負けている。ベトナム基準では美人なのかもしれないが日本人ウケしないタイプ。10年後はエピローグだけにして女の子を最後まで見たかったよ。ただ、後半の成人編。主人公は作曲家の家に奉公に出るので、家の中はいつも音楽が流れている。セリフがほとんどなくてほぼ音楽だけで登場人物の心境を表現するという意欲作。でももっと可愛い人はいなかったのか?

 

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これの予告編は10回くらい見たんじゃないかな。でも観に行こうとは思わなかった。そしていま後悔した。しかしこの映画の良さはあの予告編ではわからなかったな。夫婦惨殺事件の犯人が指名手配されている。その写真に似ている3人の男と、その人に好意をもっているのにいったん疑い出すと止まらなくなってしまう人たちの姿を、松山ケンイチ宮崎あおい渡辺謙ルート、綾野剛妻夫木聡ルート、森山未來広瀬すずルート、そして事件を捜査するピエール瀧三浦貴大が並行して描かれる...わかった。この作品は最近の女性ミステリー作家がよく使う時制のトリックだよ。怪しい松山ケンイチ綾野剛森山未來のエピソードは事件の10年前の世界で、犯人は広瀬すずのボーイフレンドが成長した姿だ。いや、ぜんぜん違った。渡辺謙宮崎あおい妻夫木聡がテレビのニュースを見て疑い出すからな。この映画、それほど深いメッセージ性は無いよ。ただ娯楽作品としてよくできている。回想シーンに出てくる犯人の姿が明らかに別の人を指していて、これはミステリーとしては反則。