初夏のビデオまつり「容疑者Xの献身」「バッドガール 最狂の女子高生」

   f:id:M14:20190727150215j:plain 500円

ライブチャット中に「笑いのために」を3回入力すると、相手の後ろにポスターの怪人(スマイリー)が現れてチャット相手を惨殺する。ありえねえだろ、どんだけ簡単に完全犯罪ができちゃうんだよ。だが主人公は友人の家で開かれたパーティーの席で一人の男子から実際に画面の向こうの人がスマイリーに殺されるところを見せられる。そして部屋でルームメイトと2人でチャットしているときに試しに入力したら相手の女の子が殺されてしまった。人を殺してしまった罪悪感と、自分に忍び寄るスマイリーの影に追い詰められていく...これは超自然ものなのか、理性のある殺人者ものなのか最後までわからず、ラストの種明かしを見ればたしかにそれしかない。ただ物語にカタルシスが無いのが残念。

 

   f:id:M14:20190727150201j:plain 300円

8年前の学生時代、悪ふざけで一人を半身不随にしてしまう。そのときの仲間が謎の招待状で集められて一人一人殺されていく...プロットは悪くないのだが細部が雑なので楽しめない。なによりミステリの禁じ手を冒頭で犯している*1。あと、同じタイプの女優ばかり集めたので最後の方で誰が誰だかわからなくなるのも減点。

 

   f:id:M14:20190727150205j:plain 1,900円

こんな傑作があったんだ。文句なしの1,800円、じゃなくていまは1,900円か。原作は読んでいるが、原作より映画のがよくできている数少ない作品。なにより堤真一の名演が光る。喜怒哀楽がない無表情のとき、つまり素の表情がいろいろなことを諦めて世捨て人になった数学の天才そのもの。これが神がかりの演技なので、そんな人が松雪泰子母娘のために頼まれもしないのに計画して実行した完全犯罪、最後に明かされる動機、たったそれだけのために喜んで殺人犯になる彼の哀しさに泣ける。その計画は最後の最後で失敗し、彼は慟哭する。数学の天才なので、人は合理的に、利己的に行動するのを前提にしている。他人の真心のために殉じる人間がいることを数学は予想しない。東野圭吾が書き足りない点をすべて補った珠玉の作品。

 

   f:id:M14:20190727150212j:plain 1,200円

無料なのでC級映画なのはわかってて見たらB級の上くらいだった。最悪の心霊スポットと呼ばれている廃病院にテレビのドキュメンタリー番組として調査に来た主人公。彼らは霊の存在を認めながらも、あくまで物理現象の一つとしてアプローチする「特命リサーチ200X」みたいなチーム。現地に行くともう一つのチームがいて彼らは宗教体験として心霊現象を捉えるので、この病院で起こることは悪魔の仕業と思っている。まったく正反対のチームがそれぞれの仮説と方法で怪異に迫る...こういう話、嫌いじゃ無い。てか、かなり好き。なのに、最後に変なのが出てきてぶち壊し。

 

   f:id:M14:20190727150208j:plain 800円

無料なのと吹き替え版なので見てみた。ポスターは8割方が嘘。こんなにダイナミックな話ではない。ラスト15分まではキャーキャー言って逃げ回っている方が多い。この映画のダメなところは主人公が可愛くないのと、黒幕が早い段階でわかってしまうこと

 

*1:たしか乱歩賞を獲った戸川昌子大いなる幻影」で起こった論争