加害者はだれ?

学校内のいじめに関してこんな記事があった。*1

いじめを放置した教員の処分項目などを試案で削除 遺族や被害者家族らは反対―いじめ防止対策推進法改正議論

「子どもの命よりも、学校関係者のほうが大事なの?」。いじめ防止対策推進法の改正案が議論されている。同法は、附則で「施行後3年を目処」に、施行状況を見ながら、改正をすることになっていたが、2013年6月の施行からすでに6年が経とうとしている。超党派の国会議員による勉強会(座長・馳浩衆議院議員)で関係者のヒアリングを行った結果、座長試案が示された。しかし、その内容が12月段階に示されたものから大きく後退したとして、いじめ自殺遺族らの有志が座長試案に反対。意見書を提出した。

 全体的に違和感だらけで頭の中が「?」で一杯になり耳の穴から溢れ出てきそうなのだが、長い記事なのでとくに違和感がある最後の部分を抜粋する。

いじめを放置し、助長するなど、法律の規定に反した教職員に対する懲戒規定も削除された。この規定の削除については、会見に出席した遺族や被害者家族から最も懸念の声が多かった。川口市のいじめ被害者家族は「川口市は、国や県から指導されていたにもかかわらず、誰一人処分されずにいる。子どもたちは犠牲になるだけ」と発言。新潟工業高校いじめ自殺遺族は「息子の件に関しては懲戒処分があったが、元校長はすでに退職になっていたために、懲戒の意味はない。反省もしてない。いまだに逃げている」と怒りをあらわにした。茅ヶ崎市のいじめ被害者家族は「(子どものケースも)懲戒処分はあったが、担任にすべての責任を押し付けた形だ。教頭、校長になるにしたがって処分は軽くなっていった。一般企業とは真逆。処分はあるべき」と述べた。

みなさんはどう思いますか? これを読むと

被害者:いじめられた子ども 加害者:学校

 この部分だけでなく全体を通していじめた子やその親に対する言及が無い。私はこう思うのだが...

被害者:いじめられた子ども+学校+無関係な子ども 加害者:いじめた子ども

いじめの問題を扱いながら、いじめた子どものことは徹底的に透明化されている。担任や教頭、校長を懲戒処分にするなら、いじめた子どもは鞭打ち、校内引き回しの上で放校になってないとおかしいだろう。

たとえ、いじめた側でも子どもに罪は無い。悪いのはすべて学校

これではいじめなんか無くならない。抜粋した部分の冒頭に「いじめを放置し」とあるが、じゃあ学校に何ができるのか、いじめを無くすためにどのような手段を与えているのかと。抜粋部分の最後に「一般企業とは真逆。処分はあるべき」と書いてあるが、一般企業は管理職あるいは人事部に対して、加害者を譴責、出勤停止、減給、降格、配置転換、免職と程度に応じた処分を行う武器を与えている。だからいじめを防げる。防げないまでも被害を最小限に抑えることができる。この記事に書いてあることが、企業を持ち出すまでもなく、人が集まる集団の中でのルートとしてどれだけ特殊なことなのか関係者はわかっているのだろうか。わかってないからいじめが無くならないのだろうけど。

この問題に対処するには、まずは前提を変えることだと思う。いまは

学校内で基本的にいじめは発生しない

これが前提になっているから学校側に武器を与えてないし、学校側も隠そうとする。そうではなく

どの学校でもいじめは発生する。いじめは特殊なことではない

要するにいじめをインフルエンザだと思えば良い。子どもがインフルエンザに罹患しても教師の責任は問われないだろ。むしろすぐに医者に行かせてインフルエンザだったら5日間くらい休ませてほかの生徒に感染しないようにするだろ。それを「我が校にはインフルエンザになる子どもはいません」としちゃったら「こいつ明らかにインフルエンザだよな。でも学校からインフルエンザを出しちゃいけないから」と子どもを休ませないで、どんどん患者が増える。インフルエンザとの対比で考えれば、まずは隔離。いじめっ子を隔離するのが望ましいが、犯人全員の特定が難しかったり、それを見て見ぬ振りをした子どもも同罪と考えると、いじめられている子を隔離した方が早い。いじめられっ子を集めて教室を作ればよい。あとは証拠集めのため校内にビデオカメラ。だが全体にカメラを設置するには膨大な金がかかるから、グリーンベルトを作って廊下、トイレなどそこだけは監視。いじめられっ子はグルーンベルトの上だけは安心して移動できる。学校から家までは集団下校。地域の暇な老人が付いていけば良い。そして実際に暴力の現場を押さえたら警察。学校は暴力に対処するノウハウも権力も持っていない。教育は学校、防犯は警察に任せる。このあたりなら簡単にできそうだがどうだろう?