「BRAVESTORM」レポ

昨年の11月に観に行った「BRAVESTORM」*1Amazonビデオのラインナップになっている。2、3週間前に週末100円セールになっていたのであらためて鑑賞。Wikiによると元円谷プロダクション副社長の岡部淳也氏が設立したブラストの制作。プロデューサー・脚本・編集・監督は岡部氏が手がけ、制作委員会方式(共同出資)を取らず岡部氏の自己資金で制作されたそうだ。上映館も少なく上映期間も短く(なにしろこれを見るために半休を取らなければならなかった)投資が回収できたのか心配だが、このまま埋もれさせるには惜しい映画なので紹介しちゃう。この映画を一言で言うと「レッドバロン」と「シルバー仮面」。ではなぜタイトルをそうしなかったのかは最後にわかる。
     
2050年、地球はキルギス星人に侵略され人類はほぼ全滅した。キルギス星人自体は恐るるに足りないが、彼の代わりに破壊活動を行うロボット、人間を捕まえて脳の改造を行い働かせる、さらに
     
地球の大気をキルギス星と同じにするために巨大ロボット・ブラックバロンが噴出するガスが人類には致命的。この設定は宇宙戦艦ヤマトと同じだ。
     
春日博士の5人の子どもはこの毒ガスの中で呼吸をするテクノロジーを開発して難を逃れる。だが多勢に無勢、いつまで生き延びられるのかわからない。父親が開発した、人間の能力を5倍にするシルバースーツを着た次男・浩二がキルギス星人のアジトに忍び込み巨大ロボットの設計図を盗み出す。キルギス星人も地球にある物だけで巨大ロボットを作ったので設計図さえあれば同じものが作れるのだ。だが人類がほとんど死滅しキルギス星人に占拠された2050年では反撃することができない。そこで毒ガスが拡散される40年前にキルギス星人を叩く作戦に出た。だがここに残って機械を操作する人が必要。
     
長男と長女は残る。ほかの3人が未来を変えても残った2人がいる世界は変わらない。長女はなぜか壇蜜。次男・浩二、三男・浩三、次女・はるかは2010年の紅健一郎博士の自宅にジャンプする。
     
懐疑的だった博士もロボットの設計図を見せて、はるかが持っていた写真を見せると彼らの言うことを信じた。紅健一郎博士の子どもが春日兄弟の父親、つまり彼らは紅博士の孫なのだ。未来の知識を利用して株、宝くじ、競馬で資金を作りレッドバロンが完成。
     
操縦するのは紅博士の弟の紅健。じつはこの弟が主役で、映画の開始から彼に関係したエピソードがいろいろあるのだがこのレポはそこを全部省略している。
     
レッドバロンの操作の練習のために月へ行く。だが彼らが未来から来たことで歴史に歪みが生じ、ブラックバロンも出現が早まってしまう。
     
ここのブラックバロンが海から上がって橋を破壊し、東京の街を闊歩するシーン。すごくリアルなのでてっきり空撮した実写映像にロボットを重ね合わせたのかと思っていたが、公式サイトにあるメイキング映像を見ると全部CGなんだな。結局、使っているコンピュータもソフトもハリウッドと大差は無いので、ロボットが活動する範囲の大きさ、ロボットが破壊する物の数には差があるものの日本産の映画もそう見劣りはしないよ。
     
晴海通りを進むブラックバロンと、それをビルの屋上から見下ろす次男の浩二。まだレッドバロンが戻ってこないので、改良型シルバースーツを着てブラックバロンを食い止める。このシルバースーツを来た浩二がシルバー仮面な。劇中ではシルバー仮面という用語は一度も出てこない。歴史上の事実ではこのあとブラックバロンは国会議事堂の前に行き、地球の大気の改造、つまり毒ガスを噴射することになっている。ブラックバロンの肩に飛び降り、いちばんやっかいなレーザー砲は破壊したが戦力の違いは明らか。踏み潰されそうになったところで
     
レッドバロンが月から戻る。
     
肩からミサイル発射。
     
ブラックバロンもレッドバロンも腕を動かすために背中にあるピストンのようなものがある。全体的に建設重機のような構造。この重機感がハリウッド映画に出てくる巨大ロボットと差になっている。小松製作所とか井関農機の得意分野だ。劣勢になったブラックバロン、ここで
     
バリアーを使用。レッドバロンのあらゆる攻撃をはね除けてしまう。このバリアーはレッドバロンのコンピュータによる解析で、小笠原諸島にある無人島の一つにあるキルギス星人の基地から送られていることが判明。
     
レッドバロンに乗っていた末娘のはるか(ウルトラマンジードの山本千尋)が「浩二兄さん、行こう!」と呼びかける。
      テレポート
      浩二がいる地上に出現。浩二を抱きかかえてテレポート
      離島に出現
このキャプチャーは難しかった。てか、はるかの能力がチート過ぎる。これがあればブラックバロンの内部にテレポートして破壊できたんじゃないのか? 兄はシルバースーツの重装備、妹は軽装。てっきに兄の後ろに隠れて基地の中を進むのかと思ったら
     
おおい、二手に分かれるのかよ。兄のほうは
     
キルギス星人が培養している分身を発見して破壊。武器さえあれば危険がないミッション。妹は
     
軽装、しかもミニスカート。一人で基地の中を歩くから、
     
言わんこっちゃ無い、キルギス星人の手下の変な生物だかロボットがいる部屋に入ってしまう。
     
腰に下げていたアイテムが3段階で伸びて剣になる。ここから1分間の妹と3匹の怪物との戦いが見事。
     
     
ロボット同士の対戦とか、シルバー仮面のアクションは事前にわかっていて観客もそれを見に来る。だが、ここの剣劇アクションの完成度の高さは驚いた。監督のインタビューで、ウルトラマンジードの放送のが先になってしまい、ここのサプライズ感が薄れたのが残念だったと言っていたそうだ。だがウルトラマンジードを見ていたので、あっちではほとんど演舞だった山本千尋の動きが、すべて無駄のない攻撃になって演出とカメラワークの違いでこれほどの差がでるのかと逆に驚いた。シルバー仮面より妹のが強そうじゃないかは言いっこなしだ。バリヤー発生装置を破壊して、捉えられていた博士を救出。
     
レッドバロンの、名前は知らないがたぶん必殺技。
     
ブラックバロン大爆発。これだけで大惨事だと思うが、春日兄弟は未来の地球の惨状を知っているのでこのくらいは誤差の内。
     
レッドバロンの肩の上に立つ春日兄弟と博士と弟。これからレッドバロンをどうするのだろうとか、あと数十年したらこの歴史上での春日兄弟が生まれてくるのだろうかとか私は心配になったがハッピーエンド。と思ったら映画は2050年に戻る。
     
3人の弟と妹を過去に送り出した長男と長女。もうあとはキルギス星人に殺されるのを待つしかない。そこに
     
変なコスの人が助けに来る。あれ、この人誰だっけ? 「ここは危険だから逃げよう」と外に出ると
     
壇蜜が驚いて見上げたそこには...
     
右側の赤い方。カメラがどんどん上に俯瞰して頭が映った瞬間に
     
「to be continue」で終了。あれはアイアンキングだよね。帽子のおじさんはテレビで石橋正次がやった役か。見てー! 新しいアイアンキング見てー。でも資金が集まらないだろうな。この映画を観て思ったのが、ハリウッドにはない日本らしい特撮映画は「重機」と「チャンバラ」だ。第二弾が制作されるためにみんなも見てね